
まちづくりに疲れた人へ送る、まちづくり講座① レポート
京都市まちづくりアドバイザーであり、様々な大学で教鞭をとられる社会学者の谷亮治が送る”ゆるくて楽しい”まちづくりの連続講座の4月28日に行われた第1回をレポート! 「モテる」を切り口にまちづくりを実践することで、現在実践している活動をよりよくする力や、これから自然体でまちに関わっていく力を身につけるため、半年間全12回の講座で実践力のあるまちづくり的な頭と体を鍛えます。
谷 みなさん初めまして、谷です。
マッドサイエンティストです。
Deまちの管理人・西馬さんと今日の講座に10人〜15人集まったら関の山だと話していたのですが、なんと37人もお集まりくださいました。
急遽、こんな白衣を購入して皆さんの目を引こうと涙ぐましい努力をしています。
今、「まちづくり」がバズワードになっていますが、意味が曖昧でわかりづらい。
本講座では、「まちづくり」を「公共財」という言葉に置き換えて整理した私の著書『モテるまちづくり』を共通のテキストにして、皆さんと一緒に公共財をつくることが目的です。
このまちづくり講座は、実験室である。
谷 私はまちづくりアドバイザーという職業柄、「学生でありながらまちづくりで収入を得ることは可能か」、「まちづくりの担い手を育成する方法とは何か」などと様々な方から何が正解かわからないことを聞かれることが多いです。
わからないことをわかるようになるには、実験するしかありません。
でも、いきなり本番というのはギャンブルすぎますよね。だからこそ実験をする必要があります。
この講座は、私が皆さんに何かを教えるというよりは、実験室だと考えてください。
みんなで課題を持ち合い、わからないことをわかるようになるまで実験しましょう。
遠くアメリカには、マサチューセッツ工科大学の「MIT」(Massachusetts Institute of Technology)というナウい大学があるらしいです。イケてますよね。
「MITで勉強しました」と言うと、格好いいですよね。
超クール。
とは言え、アメリカに憧れているのではあまり面白くない。
そこで、時代はD.I.Yです。自分でつくっちゃえ!
モテるまちづくり実験室
「MIT」
(Moteru−Machidukuri institute of Technology)
をやります。
ここが、MITです。MITへようこそ!
まちづくりの問題が解決しないのはなぜか
谷 でも、皆さん「実験」を経験したことはありますか?
一人二人しか手が挙がりませんね…。実験って、いったいどうしたらいいのでしょうか。
実験には、「演繹(えんえき)と帰納」というものの考え方があります。
まず、演繹というのは、推論があります。ある事柄がAだとするとBだからCであるという考え方です。
逆に、「帰納」は事実から考えます。Aさんは死んだ、Bさんは死んだ、Cさんは死んだ……だから人間は死ぬ、という考えです。
実験の基本は演繹と帰納のサイクルです。
例えば、「関西人は性格が荒い」という仮説を立てて関西人を集めると、中にはすごく穏やかな性格の関西人がいるかもしれません。
そうすると、新しい事実が発覚したので関西人は性格が荒いという仮説がなくなります。このサイクルによって、だんだん物事がわかるようになります。
実験でもう一つ大切なのが抽象化です。
区役所のまちづくりにアドバイスをするこの仕事をしていると、日々こんな質問をされます。
「次回のイベントで何十人集客せねばならない!」
「今度のワークショップで参加者が満足せねばならない!」
もちろん、仕事なので誠意を持って答えます。
でも、そんなもんわかるわけないやん!
というわけなんです。やったことがないからわかるわけがないんですよ。
でも、わからないからといってそのままにしておくのはいけません。
「チャンスは、それに備えている者に微笑むものだ」(リア・スクウォドフスカ=キュリー)
集客をしてお客さんを増やしたいというオーダーがあったときに、その方法を知っているか知っていないかによって成果が変わります。
それがわかれば、チャンスはそれに備えている者に微笑むわけです。
例えば、「町内会に人が入る条件とは何か」、「まちづくりの担い手を育成する方法とは何か」など、よく言われる問題がいろんな地域でずっと解決していないのは、皆さんがいろんな地域で行っている活動が蓄積されていないということ。
つまり、実験のサイクルがまわっていない現状を表しています。
なぜそうなるのかというと、ものごとを抽象化していないからです。
まちづくりの事例集を読んでいると、具体的な話が多く、どう真似たらいいのかわからず参考になりません。
「谷」といった固有名詞ではなく「人」と抽象化することで、どんな人に対しても適応することができます。
いきなり抽象化を実験するのは難しいので、この講座ではまちづくりを抽象化した『モテるまちづくり』を読みながら、皆さんと一緒にモテる公共財をつくります。
講座は個人、グループワークを交えながら進行。まちづくり事業に関わる人や学生などが集まった。
谷 実践では、皆さんがわかりたい、知りたいと思うことに取り組みましょう。
しかし本業で困っていることでも全く関係の無いことでもダメです。ギリギリのラインを狙っていきましょう。
参加者 私は岐阜県出身なのですが、地元のシャッター街が町おこしで人が集まるようになりました。京都は観光地なのに、町おこしが必要なのでしょうか。
参加者 自分が推進するまちづくりは、自分のエゴなのかそれとも町のみんなのためになっているのか境界線がわかりません。
参加者 まちづくりを行うみんなが主役になりたいと思いすぎて、隣同士が喧嘩してしまっているように感じます。それぞれが輝くまちづくりとはどういうものでしょうか。
谷 なるほど、それぞれ現場の悩みがあると思います。
しかし、いざ実践するときに安牌になりがち。
「まち歩きとかすればいいんでしょ?」となってしまいます。
次回以降この講座では、もっと新しい発見があるようなチャレンジをし、そして本業をより伸び伸びできるようにしていきたいと思います。また次回、ご参加ください。
(ライター:川上ひろ子)
「まちづくりに疲れた人へ送る、まちづくり講座第2回」
日 時_5月12日(火)20:00〜22:00
参加費_1,500yen(学生1,000yen)
場 所_Deまち(京都市上京区一真町67)
(テキストをお持ちで無い方は別途購入をお願い致します。)
詳細、お申し込みは下記URL又はコンタクトフォームからお願いします。
https://www.facebook.com/events/416862071819933
http://demachi.aai-b.jp/contact